アーセナル2025-26シーズン振り返り|22年ぶりリーグ優勝と、ブダペストの夜
22年。ようやく、終わりました
2003-04シーズンにリーグを制してから、22年。2026年5月19日、アーセナルがプレミアリーグの王者に戻りました。通算14度目、プレミアリーグでは4度目のリーグ優勝です。
この22年のあいだに、私たちは古い優勝の記憶を何度も擦り減らしながら語り、3年連続の2位を飲み込み、「今年こそ」を毎年言い続けてきました。2025-26は、その言葉をようやく回収したシーズンです。同時に、5月30日のブダペストで、あと一歩のところでもう一つのトロフィーを取り落としたシーズンでもありました。
最終成績と数字
| 項目 | 記録 |
|---|---|
| リーグ順位 | 優勝(2003-04以来22年ぶり、通算14度目) |
| 勝ち点 | 85(26勝7分5敗) |
| 得失点 | 71得点27失点/+44 |
| 2位 | マンチェスター・シティ(78pt) |
| ゴールデングローブ | ラヤ 19クリーンシート(失点27はリーグ最少) |
| CKからの得点 | 19=プレミアリーグ史上最多 |
| チャンピオンズリーグ | 準優勝(決勝でPSGにPK負け) |
| カラバオ杯 | 準優勝 |
得点より失点の数字が目を引きます。27失点・19クリーンシートという守備が、71得点という決して爆発的ではない攻撃を優勝に変えました。そしてCKからの19得点というPL記録。「セットプレーのアーセナル」と揶揄された数年が、そのまま優勝の設計図だったわけで、これほど痛快な答え合わせもありません。
クラブとしてはトップリーグ連続100シーズン到達という節目の年でもあり、5月27日にはアルテタ監督がプレミアリーグ年間最優秀監督に選ばれています。ヨケレスはリーグ14得点・公式戦21得点でチーム内得点王だったと報じられました。
移籍(金額はいずれも報道ベース)
| IN | 詳細 |
|---|---|
| スビメンディ(#36) | €65m |
| ヨケレス(#14) | スポルティングから €63.5m+€10m |
| エゼ(#10) | クリスタル・パレスから £60m+£7.5m(8月23日) |
| マドゥエケ(#20) | 約£48.5m |
| モスケラ(#3)/ノアゴー(#29)/ケパ(#13、£5m) | |
| インカピエ(#5) | レンタル |
OUTでは冨安健洋が7月4日に契約解除(在籍4シーズン・公式戦65試合)。ほかにパーティ(満了後ビジャレアル)、ジョルジーニョ、ティアニーが契約満了で去り、キヴィオル、ジンチェンコ、ネルソン、ファビオ・ヴィエイラらがレンタルで放出されました。
補強の中心はエゼとヨケレス、そしてスビメンディ。夏の時点では「高い買い物」という声も少なくありませんでしたが、結論から言えばこのシーズンを決めたのは8月23日に滑り込みで加入したエゼだったと思います。
シーズンを決めた8つの瞬間
8月17日 開幕 マンチェスター・ユナイテッド 1-0(アウェー)
開幕節をオールド・トラフォードで、カラフィオーリの1点で勝ち切りました。派手さはないけれど、1点を守って勝つ試合をこの日から積み上げられたことが、5月の85ptにつながります。優勝シーズンの始まりとしては、これ以上なく象徴的な90分でした。
8月23日/3月14日 イーサン・ダウマンという事件
リーズ戦(5-0、ホーム)でダウマンが15歳235日でデビュー。そして3月14日にはプレミアリーグ史上最年少得点記録を16歳73日で更新しました。カラバオ杯4回戦のブライトン戦では史上最年少先発も記録しています。優勝争いの真っ只中で16歳を使い続けたアルテタの胆力こそ、このシーズンで最も語られるべき部分だと感じています。
9月21日 マンチェスター・シティ 1-1(ホーム)
90+3分、マルティネッリのループシュートで追いついた一戦。勝ち点2を落とした試合と見ることもできますが、最終的にシティとの差は7ptでした。この1ptがなければ優勝は5月19日に決まっていない——そう考えると、あのループはシーズンで最も価値ある1点だったかもしれません。
10月4日 ウェストハム 2-0(ホーム)で首位浮上
ここで首位に立ち、以降はほぼ首位を維持したままゴールラインを越えていきます。8月31日にアンフィールドで0-1と敗れた時点では誰も想像していなかった展開でした。12月13日のウルブズ戦(2-1、90+4分)を含む年末の5連勝で、追走を完全に振り切ります。
11月23日 ノースロンドンダービー 4-1(ホーム)エゼのハットトリック
NLD(=ノースロンドンダービー)でエゼがハットトリック。NLD史上4人目の快挙です。加入からわずか3カ月でエミレーツの空気を完全に掌握した90分で、このクラブが長く探していた「試合を個人で壊せる10番」がついに見つかった日だったと思います。2月22日のアウェーでも1-4で勝利し(エゼ2、ヨケレス2)、ダービーは完勝の2戦2勝でした。
1月25日 マンチェスター・ユナイテッド 2-3(ホーム)
今季ホーム初黒星。1月8日にリヴァプールと0-0で引き分けた直後のこの敗戦で、「またか」という嫌な既視感が一瞬だけスタジアムに戻りました。しかしこの年のチームは、そこから崩れませんでした。優勝チームの条件は、負けないことではなく負けたあとに連敗しないことだと、あらためて思わされます。
4月19日 マンチェスター・シティ 1-2(アウェー)差は3pt
エティハドで敗れ、シティとの差は3ptに。4月4日にFA杯8強でサウサンプトンに1-2で敗れて3冠の可能性が消え、3月22日にはカラバオ杯決勝も落としたあとです。ここが本当の正念場でした。この時期に折れなかった理由を一つ挙げるなら、CLで準決勝まで勝ち上がっていた自信だと見ています。
5月19日 22年ぶりの優勝決定
第37節、マンチェスター・シティがボーンマスと1-1で引き分け、1試合を残してアーセナルの優勝が決まりました。自分たちのピッチの上ではなく、他会場の結果で決まる。22年待った末の決着としては、あまりに静かで、だからこそ現実味がありました。
Arsenal: 2025/26 Premier League champions.
— Arsenal (@Arsenal) 2026年5月19日
5月24日、クリスタル・パレス戦(2-1)のあとにウーデゴールがトロフィーを掲げ、5月31日にはイズリントンで約5.6マイルの優勝パレード。最大100万人が集まったと報じられました。
カップ戦:もう2つの決勝
カラバオ杯 準優勝
3月22日、ウェンブリーでの決勝はマンチェスター・シティに0-2。オライリーに2点を奪われました。準決勝ではチェルシーに3-2(アウェー)、1-0(ホーム、ハフェルツが90+6分)と競り勝っていただけに、決勝の内容は物足りないものでした。リーグ優勝という文脈がなければ、もっと語られていた敗戦だと思います。
FA杯
3回戦でポーツマスに4-1(マルティネッリがハットトリック)と快勝しましたが、4月4日の準々決勝でサウサンプトンに1-2(アウェー)。ここで3冠の夢が消えました。
チャンピオンズリーグ:ブダペストで終わった20年ぶりの旅
| ラウンド | 結果 |
|---|---|
| リーグフェーズ | 8戦全勝(史上初) |
| R16 レヴァークーゼン | 1-1(A、ハフェルツPK)/2-0(H、エゼ・ライス) |
| QF スポルティング | 1-0(A、ハフェルツがAT)/0-0(H) |
| SF アトレティコ・マドリード | 1-1(A、ヨケレス)/1-0(H、サカ44分) |
| 決勝 5/30 ブダペスト | PSG 1-1(延長)PK3-4 |
リーグフェーズ8戦全勝は大会史上初。11月26日にはホームでバイエルンを3-1で下しています。5月5日、エミレーツでサカの1点を守り切って、クラブ史上2度目のCL決勝進出が決まりました。20年ぶりです。
決勝はハフェルツが5分に先制、65分にデンベレのPKで追いつかれ、延長でも決着つかずPK戦3-4。クラブ史上2度目の決勝もまた、涙で終わりました。1年に2つの決勝を落としてなお、このシーズンを失敗と呼ぶ人は1人もいない——それがリーグ優勝というトロフィーの重さなのだと思います。
日本関連:冨安健洋の区切り
7月4日、冨安健洋がアーセナルとの契約を解除しました。在籍4シーズン、公式戦65試合。度重なる右膝の手術を経ての決断で、クラブが22年ぶりの優勝を果たすシーズンの直前という巡り合わせになりました。2026年1月にはアヤックスと半年契約を結び、板倉滉とチームメイトになっています。
日本開催のプレシーズンはこの年もなく、7月21日から31日のアジアツアーはシンガポール(ミランに1-0、ニューカッスルに3-2)と香港(スパーズ戦は0-1)のみ。香港でのNLDは英国外で初開催となり、49,975人を集めました。
総括:22年の終わりは、何かの始まりでもある
85pt、27失点、19クリーンシート、CKから19得点。この4つの数字にアーセナルの2025-26が全部入っています。攻撃で圧倒したのではなく、失点しない土台とセットプレーという再現性の高い武器、そしてエゼという個人技の解決策。その3点セットで、22年の待ち時間を終わらせました。
そしてブダペストのPK戦は、このチームがまだ「完成」ではないことを教えてくれました。リーグを獲ったあとに何を目指すのか。2026-27の答え合わせは、もう始まっています。
関連記事
参考
- https://www.arsenal.com/news/arsenal-crowned-202526-premier-league-champions
- https://www.soccer-king.jp/news/world/eng/20260520/2161505.html
- https://www.soccer-king.jp/news/world/cl/20260531/2165361.html
- https://theanalyst.com/articles/arsenal-most-goals-from-corners-premier-league-season-record

