アーセナル歴代ユニフォームの歴史|赤×白袖の由来と名作キット、2026-27まで
アーセナルのユニフォームは、ひと目で「アーセナルだ」と分かります。赤いボディに白い袖。この組み合わせを1930年代から守り続けているクラブは、世界を見渡してもそう多くありません。
この記事では、その色がどこから来たのか、どんな名作が生まれてきたのか、そして2026-27シーズンの3着がどんな顔をしているのかを、クラブ公式の記述をベースに整理します。
赤はノッティンガムから届いた
クラブの始まりは1886年、ウーリッジの兵器工場で働く人々がつくった「ダイアル・スクエアFC」でした。当時の装いは、赤いシャツに白いパンツ、黒いストッキングと帽子です。
では、なぜ赤だったのか。クラブ公式の説明では、ノッティンガム・フォレストから移ってきた3人の選手——フレッド・ビアズリー、ビル・パー、チャーリー・ベイツ——が「古い赤いキットを一緒に持ってきた」ことが出発点とされています。予算が限られていた新しいクラブにとって、すでに手元にある赤を採用するのは自然な選択でした。
初期のシャツは濃い赤の長袖で、襟がつき、前面にボタンが3つ。白いニーレングスのショーツと合わせていました。今のシャープなシルエットからは想像しにくい、重たい作りです。
余談ですが、1906年にスパルタ・プラハの会長がアーセナルを訪問し、そのキットに感銘を受けて自チームにも同じ色を採用させた、という話がクラブ公式に残っています。赤は早い段階から人を引きつける色だったわけです。
白袖の誕生――1933年3月4日
赤一色だったシャツに白袖が入ったのは、名将ハーバート・チャップマンの時代です。クラブ公式は、1925年のチャップマン就任が「今日のアーセナルのキット」の出発点であり、赤いシャツに白い襟と白い袖を組み合わせた新しいストリップを彼が考案したと記しています。
きっかけには有名な逸話があります。漫画家トム・ウェブスターがブラックプールでゴルフをした際、白いポロシャツの上に青いノースリーブのセーターを重ねていた。それを後にチャップマンに話したところ、彼は赤いバージョンを思い描き、ウェブスターに赤インクでスケッチさせた——というものです。
そして実際に白袖が公式戦のピッチに現れた日付も記録されています。1933年3月3日(金)にノッティンガムの繊維メーカー、ホリンズ社へ発注が入り、翌3月4日(土)のハイバリーでのリヴァプール戦でお披露目されました。この試合は0-1で敗れていますが、新しいシャツを見た観衆からは歓声と口笛が上がったと、当時のトム・ウィッタカーが振り返っています。
コントラストの強い袖は、ピッチ上で味方を見つけやすくする——その実用的な発想が、結果としてクラブ最大のアイデンティティになりました。
時代ごとの「名作」を振り返る
1968年、イエロー&ブルーの誕生
1968年11月、FAが審判の黒と紛らわしいという理由でネイビーのシャツを禁止したことをきっかけに、アーセナルはイエローとブルーのアウェイキットを採用します(Historical Football Kits)。これが、赤×白袖に次ぐ「第二のアーセナル」として定着しました。1978年と1979年のFAカップ決勝でも、アンブロ製のイエロー&ブルーが使われています。
1991-93「ブルーズド・バナナ」
そして、アーセナルのキット史でもっとも語られる一着が、アディダス製の1991-93年アウェイです。イエローを基調に、黒いジグザグの幾何学模様を全面にあしらったデザインで、「打ち身のバナナ(ブルーズド・バナナ)」という非公式のニックネームが定着しました。
発表当時は「史上最悪のキット」を選ぶ投票の常連になるほど賛否を呼びましたが、時間が経つにつれ評価は反転します。イアン・ライト、トニー・アダムス、デイヴィッド・ロカステルが着たこの柄は、90年代初頭のフットボールシャツ黄金期を象徴する存在になり、2019年にはアディダス・オリジナルスから復刻されました。
2005-06「レッドカラント」
ハイバリー最後のシーズンとなった2005-06には、クラブ初期のハイバリー時代へのオマージュとして、濃いワインレッドの「レッドカラント」シャツが登場します。翌2006-07、エミレーツ・スタジアムでの初シーズンには、おなじみの赤と白へ戻りました。
サプライヤーの変遷とディテール
- 1960年ごろ、織りのラグビーシャツ的な作りから、ニット地のコットンジャージーへ
- 1970年代初頭、シャツに「キャノン(大砲)」のグラフィックが初登場
- 1970年代後半、初めてメーカーロゴ(アンブロ)が入る
- 1982年、JVCが初のシャツスポンサーに
メーカーはアンブロからアディダス、1994年にナイキ、2014年にプーマと移り、2019-20シーズンからはアディダスが復帰しました。つまり「ブルーズド・バナナ」を作ったメーカーが、いま再びアーセナルのキットを手がけているわけです。この巡り合わせが、2026-27に効いてきます。
2026-27シーズンの3着
ホーム:エミレーツ20年のディテール
2026-27のホームは、アーセナル公式サイトの説明によれば、エミレーツ・スタジアムがホームになって20年という節目をテーマにしたデザインです。深みのある赤のボディにくっきりとした白袖という原則はそのままに、スタジアムから引いたモチーフが控えめに盛り込まれました。
特徴は、伸びやかなルーフライン(屋根の曲線)から着想したという専用のクルーネック襟と、ボディ全体に入る微細な赤のパターン。赤いディテールの入った白のショーツ、赤のソックスと合わせます。素材はボディマッピングされた軽量の3Dエンジニアード生地で、アディダス最新のCLIMACOOL+を採用。アーセナル公式サイトによれば、アーセナル・ダイレクトや公式店で購入すると限定のNFCカードが付き、スキャンするとアプリで選手のボイスノートが聴ける仕掛けもあるとされています(2026年9月時点。特典の内容や取り扱いは変わることがあるため、購入前に公式サイトでご確認ください)。
アウェイ:「ブルーズド・バナナ」の再解釈
アウェイは、ネイビーをベースに、1991-93年のオリジナル「ブルーズド・バナナ」の幾何学模様から着想したグラフィックを全面に配置した一着です。プリントはネイビーとイエローのトーンで構成され、トレフォイル(三つ葉)のクルーネック襟には赤とイエローのアクセントが入ります。ショーツとソックスもネイビーで、赤とイエローのディテール付き。クラブは「ブルーズド・バナナの精神を現代へ持ち込む」と説明しています。
サード:5シーズンぶりのイエローと稲妻
サードは2026年8月3日に発表されました。アーセナル公式サイトは、アーセナルを象徴するイエローがサードとして戻るのは5シーズンぶりだとしています。生地には、クラブの歴史に織り込まれてきた「稲妻」のグラフィックが現代的にアップデートされて埋め込まれています。
アディダスのロゴ、キャノンのエンブレム、スリーストライプスにはネイビー、襟と袖口にはバーガンディのアクセント。ショーツとソックスはネイビーで、ゴールドとバーガンディのディテールが添えられます。
まとめ
- 赤は、ノッティンガム・フォレストから移ってきた選手が持ち込んだ実用的な選択から始まった
- 白袖はチャップマンの発想で、1933年3月4日に初めてピッチに登場した
- イエローは1968年以来の「第二の顔」で、その頂点が1991-93年のブルーズド・バナナ
- 2026-27は、クラブ公式の説明によれば、ホームがエミレーツ20年、アウェイがブルーズド・バナナの再解釈、サードが5シーズンぶりのイエローと稲妻
1886年から続く一本の線の上に、いま自分が着ている1着があると思うと、着心地も少し変わってきます。
どのグレードをどこで買うかは、アーセナル新ユニフォームの買い方【2026-27】で価格と購入先を比較しているので、あわせてどうぞ。
(デザイン・発売状況は2026年9月時点の情報です。最新情報は公式サイトでご確認ください。)
参考
- Come on you Reds – the club’s colours(arsenal.com)
- Origin Stories – Arsenal’s white sleeves(Museum of Jerseys)
- The inspiration and features behind our 2026/27 home kit(arsenal.com)
- The details that made our 26/27 away kit(arsenal.com)
- A state of mind: Details behind our third kit launch(arsenal.com)

