アーセナル2023-24シーズン振り返り|勝ち点89・28勝、届かぬ2点差
はじめに:勝ち点89を積んで、それでも2位
2023-24シーズンのアーセナルは、前季の「あと少し」を反省して本当に強くなりました。
勝ち点89は、無敗優勝した2003-04の90に次ぐクラブ歴代2位。
28勝もクラブのプレミアリーグ記録。
失点29はリーグ最少。
それでも優勝したマンチェスター・シティが91だったため、2位でした。
日本のグーナーにとっては、前季とは違う種類の悔しさが残ったシーズンだったと思います。
前季は「失速して届かなかった」。
このシーズンは「最後まで走り切って、それでも足りなかった」。
この差は大きく、そして翌季以降の期待値をはっきり変えました。
最終成績と数字
| 項目 | 記録 |
|---|---|
| 最終順位 | 2位(優勝マンチェスター・シティ 勝ち点91、2点差) |
| 勝ち点 | 89(クラブのプレミアリーグ歴代2位。最多は2003-04の90) |
| 成績 | 28勝5分5敗(28勝もクラブのプレミアリーグ記録) |
| 得失点 | 91得点29失点(得失点差+62) |
| 失点 | 29はリーグ最少 |
| チーム得点王 | サカ(リーグ16得点、公式戦20得点) |
| 個人表彰 | ラヤがゴールデングローブ(16クリーンシート) |
アルテタ監督はこのシーズン中に通算200試合を迎えています。
91得点を取りながら29失点しかしていないという数字は、攻守のどちらかに振り切ったチームではないことの証明です。
移籍:クラブ記録の投資
金額はいずれも英メディアの報道ベースです。
IN
| 選手 | 背番号 | 前所属 | 報道された移籍金 |
|---|---|---|---|
| ハフェルツ | 29 | チェルシー | £65m |
| デクラン・ライス | 41 | ウェストハム | £100m+£5m(クラブ記録) |
| ティンバー | 12 | アヤックス | 約£34m |
| ラヤ | 22 | ブレントフォード | ローン(翌夏に£27mで完全移籍) |
OUT:ジャカ(レヴァークーゼン/€25m)、バログン(モナコ/€40m)、ホールディング(クリスタル・パレス)、ターナー(ノッティンガム・フォレスト)、ティアニー(レアル・ソシエダ/ローン)、ペペ(契約解除)、タヴァレス(フォレスト/ローン)、ロコンガ(ルートン/ローン)。
クラブ記録を更新してライスを獲得し、ハフェルツとティンバーも加える。
前季に見えた「主力を欠いたときの余力」という宿題に、まっすぐ資金で答えた夏でした。
長年の主力だったジャカを送り出した判断も含めて、このシーズンの強さはこの夏に用意されていたように思います。
シーズンを決めた瞬間
8月6日:コミュニティシールド優勝
シーズンの幕開けは、8月6日ウェンブリーでのコミュニティシールド。
マンチェスター・シティを相手に、77分にパーマーに先制されながら、90+11分のトロサールのゴールで1-1に追いつきました。
PK戦はラムズデールがロドリを止めて4-1。
公式戦のタイトルとしては小さくても、前季あれだけ苦しめられた相手を倒したという意味は小さくありませんでした。
公式マッチレポート(arsenal.com)にも当日の様子が残っています。
シーズンの最初の90分で「今年は殴り返せる」と示したことが、この日のいちばんの成果だったように思います。
8月12日:開幕勝利と、ティンバーの負傷
開幕節はホームでノッティンガム・フォレストに2-1。
ただしこの試合で新加入のティンバーが前十字靭帯を断裂します。
開幕90分で、夏に獲得した右サイドの選択肢を失ったことになりました。
結果的にこの穴は、冨安を含む既存の選手たちの総力でふさぐことになります。
開幕戦の勝利の記憶より、この負傷のほうが長くシーズンに影響したように思います。
10月8日:ホームでマンチェスター・シティに1-0
10月8日、エミレーツでのマンチェスター・シティ戦。
86分のマルティネッリのゴールで1-0と、2015年以来の勝利を挙げました。
前季のホームでの直接対決で完敗していた相手に、90分近くまで守り切って勝ち点3を取り切った試合です。
スコアの内容そのものが、前季からの成長を一番わかりやすく示していたように思います。
11月4日〜12月31日:VARの夜と、年末の失速
11月4日、アウェーのニューカッスル戦を0-1で落とします。
この試合はVARの判定をめぐって大きな議論になりました。
さらに12月31日、アウェーのフラム戦を1-2で落とし、年末にかけて足が止まります。
前季の春を知っているファンほど、この時期の数試合には嫌な既視感があったはずです。
ただ、このシーズンのチームがそこから立て直したことが、前季との決定的な違いになったように思います。
2月4日〜3月4日:リヴァプール戦から始まる爆発
2月4日、ホームでリヴァプールに3-1。
ここからチームの様子が変わります。
2月11日にはアウェーのウェストハム戦に6-0、3月4日にはアウェーのシェフィールド・ユナイテッド戦にも6-0で勝利しました。
公式ハイライト(arsenal.com)を見ると、この時期の攻撃の圧力の高さがよくわかります。
年末の停滞から一気にギアを上げたこの2か月がなければ、勝ち点89という数字には届かなかったように思います。
3月12日:14年ぶりのチャンピオンズリーグ8強
チャンピオンズリーグ(CL)はグループBを首位通過。
ラウンド16の第1戦は2月21日にアウェーでポルトに0-1と敗れましたが、3月12日のホーム第2戦はトロサールのゴールで1-0。
PK戦はラヤが2本止めて4-2となり、14年ぶりのベスト8進出を決めました。
長く欧州の舞台から遠ざかっていたクラブにとって、この夜は順位表の数字より大きな意味があったように思います。
4月17日:バイエルンに敗れ、欧州の挑戦が終わる
準々決勝の相手はバイエルン・ミュンヘン。
4月9日のホーム第1戦は2-2、4月17日のアウェー第2戦はキミッヒのゴールで0-1と敗れ、合計スコアで準決勝進出を逃しました。
3月31日のアウェーのマンチェスター・シティ戦が0-0、4月14日のホームのアストン・ヴィラ戦が0-2という流れの中での敗退で、リーグとCLを同時に追う難しさがそのまま出た時期でした。
この4月の過密日程をあと一歩で乗り切れなかったことが、最終的な2点差につながったように思います。
5月19日:最終節エヴァートン戦、冨安健洋の同点弾
4月28日のアウェーNLD(ノースロンドンダービー=トッテナムとの北ロンドン対決)を3-2で制し、優勝の可能性を最終節まで残しました。
5月19日、ホームでのエヴァートン戦は43分の冨安健洋のゴールで追いつき、89分のハフェルツのゴールで2-1。
勝利で締めくくりましたが、マンチェスター・シティが史上初の4連覇を達成し、アーセナルは2年連続の2位となりました。
最後の最後に日本人選手のゴールでシーズンが動いたことは、日本のグーナーにとって忘れがたい終わり方だったように思います。
カップ戦
コミュニティシールドは前述のとおり優勝。
一方で国内カップ戦は早期敗退が続きました。
FAカップは3回戦でホームのリヴァプールに0-2。
カラバオカップは4回戦でホームのウェストハムに1-3。
いずれもエミレーツでの敗戦でした。
CLはグループB首位通過からポルトを退けて14年ぶりの8強、そしてバイエルンに敗退。
リーグで89ポイントを積み上げながら欧州でもベスト8まで進んだことを考えると、カップ戦の早期敗退は結果的に日程面で助けになった面もあったように思います。
日本関連:冨安健洋の一年
このシーズンの冨安健洋は、内容の濃い一年を過ごしました。
年明けの1月から2月にかけては日本代表としてアジアカップに参加(日本は2月3日の準々決勝で敗退)。
クラブに戻ると、3月20日には2026年までの新契約に合意し、さらに1年のオプションが付く条件だと報じられました。
そして5月19日の最終節エヴァートン戦での43分の同点弾です。
ティンバーを開幕で失ったシーズンに、複数ポジションをこなせる守備者としてチームを支え、最後は得点でも貢献しました。
契約延長とゴールが同じシーズンに並んだことは、当時の評価の高さをそのまま表していたように思います。
総括:このシーズンが翌季に残したもの
2023-24シーズンは、アーセナルが「優勝を争えるチーム」から「優勝しても不思議ではないチーム」になったシーズンでした。
クラブ歴代2位の89ポイントと、クラブのプレミアリーグ記録の28勝、リーグ最少の29失点、そして14年ぶりのCL8強。
負けたのはリーグでわずか5試合です。
それでも優勝には2点足りませんでした。
ここまで積み上げて届かないなら、あとは相手が落ちるのを待つのではなく、自分たちが取りこぼしを減らすしかない。
ライスとハフェルツが機能し、ラヤが後ろを締め、冨安が最終節に決める。
そのすべてが揃ってなお2位という現実が、そのまま翌2024-25シーズン以降の出発点になりました。
関連記事
参考
- https://www.soccer-king.jp/news/world/eng/20240520/1892343.html
- https://www.soccer-king.jp/news/world/eng/20240320/1861302.html
- https://www.premierleague.com/en/news/3618830
- https://www.arsenal.com/fa-community-shield-match-report-trossard-penalty-shootout
